サバイバル登山家 服部文祥 おすすめ本の紹介

2019年のGWキャンプでハンモックに揺られながら読書をしている時に別の本で紹介されているのをきっかけに知ることとなった。ちょっとネットで調べてみるとヤバそうな人(良い意味で突き抜けている人)というのが第一印象。

そこから本を買いだしてスッカリはまってしまい、出版されている本はほとんど読み尽くしてしまった。何度も読み返したい本が多く、いつもは読んだ本はすぐに売ってしまうのだが、服部さんの本は売らずにいつでも読み返せるように棚にスペースを確保している。

おすすめ本の紹介と防備録を兼ねて読書感想を書いておく。

ツンドラサバイバル

NHKBSの企画でロシアのツンドラを旅する話。本来の目的は隕石が落ちてできた『エル・ギギトギン』という湖まで徒歩で旅をし幻のトラウトを釣り上げるという設定だ。釣りをするシーンもドキドキして面白いのだが、湖に至るまでの道中が非常面白く本の中心は旅中での出会いやカリブー狩りに関する記述に大きく割かれている。

トナカイ遊牧民のミーシャとの奇跡的な出会いが、台本でもあったのかと思わせるほど魅力的で深い内容となっている。詳細は書かないのでぜひ本を読んでほしい。個人的に服部さんの本の中で一番好きな話がツンドラの旅。

服部さんのツイッターを見ているとちょいちょいミーシャが登場する。ぜひ再会の狩猟サバイバルやってほしいですね!

ツンドラ・サバイバル
みすず書房
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サバイバル登山入門

服部さんの自己紹介的な本。初期の出版物の『サバイバル登山』や『サバイバル狩猟』も面白いが、この『サバイバル登山入門』は入門編を謳っているだけあり写真や図解が多くて読みやすい。サバイバル登山・狩猟を全く知らない人に『服部文祥ってどんな人?』と問われたらこの本を渡してあげたいくらい良くまとまっている。
他にもこの本のオススメ理由としては短めのコラムが多いこと。服部さんの魅力はやってる行為だけが面白いのでなく、文字として表現する力も兼ね備えていること。その面白さは写真や図解ではなくコラムなどの文章の中に現れている。本や文献をしっかり読み込んでいて、自分なりに考察して体験して最後は文字に落とし込む。無茶苦茶なようでしっかりと考えられたそのプロセスの面白さに気づいてしまった人は『あっ、ヤバイ人に出会ってしまった笑』と、新しい発見につい嬉しくなってしまうはずだ。服部さんの思考や登山・狩猟などの行為に少しでも興味があれば初めに手に取って欲しい1冊。

野営地探しやブッシュクラフトネタで本ブログにたどり着く方が多いが、そんな方もオススメしたい1冊。この本のルートを参考にすれば野営地探しで迷うことはないはずだ。

サバイバル登山入門
デコ
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アーバンサバイバル入門

なんだよアーバンって?よく小洒落た印象をつけたいときにアーバンという単語を組み合わせているのを目にする。都会でサバイバルといっても山中を縦横無尽に駆け巡りながら展開されるサバイバル登山と比較すると、都会でのそれは人為的な息苦しい制限が多そうで本のタイトルからは面白さは想像できなかった。

実際に読んでみると良い意味で予想を裏切ってくれた。鉄砲を担いで山を旅する『サバイバル登山』のスタイルはなかなか真似ができないが、『アーバンサバイバル入門』で紹介されているサバイバル術は僕らのような一般読者でも参考にして実践できそうだ。

この本では服部流の衣食住の様々な内容について幅広く解説されている。以下のキーワードで気になったものがいくつかあれば間違いなく楽しめる内容の本。

  • 衣類の修繕、縫製
  • 養鶏・養蜂
  • 家庭菜園・果樹栽培・山菜・木の実
  • ミドリガメ・ウシガエル・ザリガニ・ヘビ
  • DIY・リフォーム・ウッドデッキ・古民家・薪ストーブ

僕もDIYとか自分で物を作ったり作業をするのが好きなので本の内容はとても共感できる。ぼろい家の再生やウッドデッキ自作は人生の中でやってみたいリストの上位に食い込んでいるので、一連の流れの解説はとても参考になる。それとミドリガメが意外と美味しそうだったので、いつか機会があればトライしてみたい。

3000円と値段は高めだが、分かりやすい写真と図解でボリュームのある内容になっていて全ページ楽しく読める。『サバイバル登山入門』と並んでオススメしたい1冊。

百年前の山を旅する

この本もアーバンサバイバルと同じくタイトルを読んだ限りではあまりそそられない本であった。表紙を見ると服部さんが古めかしい格好で登山をしている様子がうかがえる。『あー、またなんか変なことしてるなー笑』と思わせるその表紙は僕の読書欲を刺激することはなく2,3カ月の間積み本の中に埋もれていた。

ふと気になって読み始めるとこれがまた面白い!グイグイと引き込まれるように読んでしまいあっという間に読了。本の内容はタイトルにあるように100年前に登山をしていた人たちの文献を参考に、同じような装備で、同じルートを検証・考察しながら旅するという内容。テントやコンロ、ゴアテックスのカッパは持たず、わらじに脚はん、着ござで100年前の山旅を再現する。現代の最新技術に頼らない登山で得られる感想とは。

『奥多摩、奥秩父、笛吹川遡行』『北アルプス奥穂高岳登攀』『富山~京都の鯖街道を駆け抜ける』『江戸時代の富山藩 黒部奥山廻り』などなど。過去の山旅を自分で考察し自分で体験する。当時の人達がその場所に立ちなにを考えたのか、服部さんが同じ景色を見たときになにを思ったのか。

サバイバル登山などの行動に関する印象が強い服部さんだが、読ませる文章にまとめ上げるスキルも魅力の一つ。

Amazonで中古本が安くなっているので、新品にこだわりがなければオススメです
百年前の山を旅する
東京新聞出版局
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【番外編】はっとりさんちの狩猟な毎日

番外編で服部さんの奥さん(小雪さん)視点での狩猟ライフを綴ったエッセイ集を紹介。文祥氏の本を読んでいるとよく分かると思うが、非常に我が強く良い意味でブレない芯を持っている人だと感じる。それ故に自分が絶対的に正しく、他人の意見は聞かない人との印象も受けてしまう。そんな文祥氏の奥さん視点で描かれる日常は、冷静な人から見た客観的な『服部文祥』を知ることができる。以下のエピソードが文祥氏らしさがあって面白い。

後日、私が役所に出す婚姻届の用意をしていると、村田君が「名字は服部でいい?」と言い出した。結婚したら、男女関係なく格好いいほうの姓を選ぶべきだと前々から考えていたという。
「いろんな考え方があるもんだね」と私は言い、彼は私の姓を選んで「服部文祥」と名乗ることになった。

はっとりさんちの狩猟な毎日:服部小雪

他にも小雪さんのイラストが豊富でほっこりとリラックスしながら読むことができる。

はっとりさんちの狩猟な毎日
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