sotoのストームブレイカーでCB缶運用をするべく色々調べていると、CB缶の内部はちょっと変わった構造になっていることが分かった。
「CB缶 構造」で検索すると既に先人達がCB缶を分解して写真を載せてくれている。本当にそんな構造なのかと疑問に思いつつ、僕も空のCB缶があったため分解・観察をしてみた。
CB缶の構造
▼よくあるCB缶
▼パカっと中を開くと白っぽい「L字型」のプラスチックがある
▼L字の白いやつはガスの流路になっている。ここから缶内部の燃料が吸入(排出)されバーナーなどに供給される仕組み
▼カセットコンロ交換時に必ず目にする切り欠きと吸入口は(排出口)必ず同じ位置に来るようになっている。理由は後述
CB缶のノズルがL字型の理由
L型のノズルには理由があった。
CB缶の内部構造
CB缶の構造を簡略図にしてみた。燃料バルブの部分はかなり省略しているが大まかにはこんな感じになっている。内部は液体の燃料とそれが気化したガスが混合したものが詰まっている。
よく雪山や寒冷地で「ガス缶が使えない!」というトラブルはこの液体燃料が気化できなくなりガスを外に押し出す圧力がなくなってしまうのが原因である。
寒くて気化しない、内圧が低い
⇓
ガスが出てこない
⇓
火がつかない
そのため、低温でも気化できる燃料を混ぜたガス缶がハイパワー(寒冷地仕様)などで売られている。(寒いとなぜ気化できないかも書きたいが話が逸れるのでこのへんで。。。)
卓上コンロで鍋をやる時にガス缶が切れて交換した経験のある方なら無意識のうちに切り欠きを上にしてガス缶を交換しているはず。なぜなら、そのようにしか取り付け出来ないように設計されているから。
なぜ向きを決める必要があるのか?
なぜ缶内部の吸入ノズルがL字になっているのかの答えは、「ガス機器は気体のガスを燃焼させている。生ガス(液体の状態)で燃料を供給すると大きな赤い炎が出て危険なため」である。誰が使ってもどんなふうに使っても安全に使えるように、切欠きの向きとL字のノズルの向きが一緒になるように設計されている。
液出し(気化した燃料ではなく液体のままの燃料を供給すること)できるバーナーには気化器(液体で供給された燃料を温めて気化させる機構)が付いているが、CB缶の使用で想定される屋内用の家庭用カセットガスコンロではそのような構造がついていない。
缶の向きと燃料がどのように供給されるのかを図にしてみた。
▼缶を倒した状態で上下を反対にするとどうなるのか
- 上の図:ノズルが液面より上にある状態では気体の燃料が供給される
→ 家庭用カセットコンロはこの方式 - 下の図:ノズルが液に浸かった状態では液体の燃料が供給される
→ いわゆる液出し
▼次に缶を立てた状態で上下を反対にするとどうなるのか
- 左の図:ノズルが液面より上にある状態 → 気体供給
- 右の図:ノズルが液面より下にある状態 → 液体供給(液出し)
液出しのメリット/デメリット
気体供給の状態でハイパワー(寒冷地仕様)のガス缶を使い続けると、気化しやすい燃料だけ先に排出されてしまい気化しにくい燃料が缶の中に残ってしまう。だいたい、沸点が低く気化しやすい燃料(イソブタン、プロパン)と沸点がそこまで低くないブタンとの混合燃料のため、気化供給では気化しにくいブタンだけが残ってしまう。
そこで液出しをすると気化しやすい燃料(イソブタン、プロパン)は気化して缶の内圧を高めてくれるが、排出されるのは液体の状態のブタンのみ(厳密には気化燃料も一緒に排出される)のため最後まで燃料を使い切ることができる。寒冷地でも比較的安定した燃料供給ができることが液出しのメリットである。
デメリットは上記の液出し云々を理解していないと赤火が出て危険なことである。液出しの場合は消火・着火にも手順がありそれを理解していないと最悪の場合、事故につながる。
ストームブレイカーで使えるの?
CB缶の構造を理解したところでストームブレイカーでも使えるのかを書きたいと思う。ストームブレイカーは液出し可能な構造(気化器)を備えているため上記の構造が理解できていればCB缶の液だし使用が可能。
↓実際のストームブレイカーでのCB缶使用はこちらを参照
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