前回のストームブレイカーメンテナンスの続き
メンテンナスでは分解する必要がない部分まで分解して観察をしてみた。
メンテンナス記事にはまとめきれなかったのでこちらの記事で紹介する。
ホース分解
分解はメンテナンスキットに付属している、マルチルーツA/Bを使用する。
まずはホースを分解していく。ホースは消耗品として設定されているので、もしホース単体で破損した場合は部品交換が可能。
部品 | 型式 |
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ホースユニット | SOD-3721 |
▼マルチルーツB(11mm)を使いナットを緩める
※真鍮部品のためナットを舐めないようにしっかりと工具をかけること。
▼ナットを緩めてホースを左右に揺すりながら引き抜く
▼ホースと本体が分解できた
※写真の黒くテカっているのがグラファイトパッキン
ここで注目したいのが本体とホースのパッキン(ガソリン、ガスが漏れないように気密をすること)の材質にグラファイト(膨張黒鉛)が使われていること。MUKAではホースと本体の付け根が可動してコンパクトに収納でき、ホースの向きを自在に変えることができるメリットがあった反面、Oリング(ゴム材)のパッキンが使われているため熱による劣化で使い方によっては定期的に交換が必要であった。
グラファイトのパッキン(ガスケットとも呼ばれたりする)は耐熱・耐腐食性に優れ自動車やバイクのエンジン、エキゾーストパイプ、マフラーの接続に使用されたりしている。永久的に使えるわけではないがMUKAのOリングシールと比較するとストームブレイカーは圧倒的に耐久性が向上している!!!
ノズルユニット分解
次はノズルユニットを分解する。マルチルーツA/Bを使用して2個のナットを緩める必要がある。
この部分は結構強くネジが締まっていて、ナットが薄いので付属の工具では力が入れにくい。そこで、手持ちのスパナを使用してナットを緩めた。
ジェネレーターユニット(火口の部分)とノズルユニットは部品単体で購入できる、もし破損しても自分で交換が可能だ。
部品 | 型式 |
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ジェネレータユニット | SOD-3722 |
ノズルユニット | SOD-3723 |
▼まずは13mmのナットを動かないように固定をして先に11mmのナットから緩める。次に13mmを緩める
▼しっかりしたスパナだとナットを咥えやすく力が入れやすい
※大きな工具を使うと力がかけやすくオーバートルクでネジが破損することがあるので注意が必要
▼2個のナットを緩めた状態
ナットが緩んだらノズルユニットを左右に揺すりながら引き抜く
▼ノズルユニットが外れた
▼バーナーヘッドとの接続部分
金属のスペーサーとその下にグラファイトパッキンが入っていた。
ホースと同じく、こちらもゴムのパッキンが使われていないため耐久性が大幅に向上していると思われる。
▼ここまでの分解状況
バーナーヘッド(ジェネレーターユニット)、ノズルユニット、ホースの3ユニットに分解できた。
バーナーヘッド分解
最後にバーナーヘッドの分解をする。この部分は特に工具は必要なく手で分解ができる。
▼”Storm Breaker”の銘版が光り輝く部品を手で回して取り外す
▼簡単に外すことができる
円筒状の部品。色からして真鍮?だろうか。薄い肉厚に細かいピッチのネジがキレイに切られている。さすが日本のメーカーである。細かい部分の加工まできっちり仕上げられている。
▼バーナーヘッドの雌ねじ部分
こちらは板金部分にネジが切られている。薄い板厚でこのネジ切り。素晴らしい!
▼五徳を取り外した状態
▼分解部品
五徳
五徳のパーツ一つ一つもキレイに仕上げられている。板金部分のバリが無くも使う人に優しい。シンプルだがホースやヘッド、ノズルの固定が行えるように機能的に作られている。
▼五徳を分離した状態
▼五徳単体
分解した感想
MUKAと比べると燃料流路の各接続部分のシール方法が変更され耐久性が向上している。メンテンナンスの手間もグッと減って交換部品が少なくなることで財布にも優しい改善がされていた。かなり高額な部類の道具なので長く使えるのは非常に嬉しいポイント。
最近のキャンプブームの影響で粗悪なコピー商品をよく見かけるになった。シンプルな構造ほど耐久性が良いが、シンプルな構造故に簡単に真似しやすくなっている。機能は同じでも部品一点一点まで分解して観察してみるとその差は歴然。部品の精度だったり仕上げの綺麗さだったり、機能以外の部分で満足させてくれるメーカーって素敵だと思う。
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